僕の部屋のベッドの上。
ある日の朝、目が覚めると、知らない女が僕の隣で寝ていた。
完全に知り合いではない顔。
そう思って、ボーっとしていたが、
時間が経って冷静になると、現実であることに気づいた。
僕は前日のことを思い返した。
前日の夜は、仕事仲間との飲み会。
居酒屋にて、男3人で盛り上がり、僕は途中から記憶がない。
最初の3杯くらいビールを飲んだことは覚えているけど、、、
記憶は飛んで、次の日の朝、僕の部屋にいた。
その間に何かが起きているのは確か。
僕は何をやらかしたのか。
必死に思い出そうとするも、何も思い出せず。
一旦、スマホを手に取って、女の人を起こさないよう音を立てず、そろーり部屋を出た。
一緒に飲んでいた仕事仲間に事情を聞くため、LINE電話。
1人は出ず。
もう1人に電話しても出ず。
2人とも二日酔いだったのだろう。
僕は何もわからないまま、アパートの前でうろうろしていた。
誰なのかわからない女の人が、自分のベッドで寝てるなんて、怖いでしょ。
何されるかわからないし。
部屋に戻ろうか迷っていると、仕事仲間の1人から折り返しの電話が来た。
その人から昨日のことを聞いてみると、飲み会の後半、隣の席で飲んでいた女性2人をナンパしたとのこと。
結果、僕と仕事仲間2人と女性2人の計5人で相席して、終電まで飲んでいたらしい。
(僕は全く覚えていない)
その後は、ホテルに行くわけでもなく、それぞれの家に帰った。
そう聞くと、
電車の方向は、仕事仲間2人と女性1人、僕と女性1人で分かれたらしい。
と思うかもしれないが、僕は人見知りだし、根っからのビビり。
そんな奴が、会って初日に女の子を家に連れ込むなんて、するわけない。
しかも、当時は遠距離だったけど、彼女もいた。
おかしい。
なにかおかしい。
もう自分で考えてもどうにもならないので、直接女の人に聞くしかない。
部屋に戻ると、まだ女の人がベッドで寝ている。
起こすのが怖かったけど、勇気を出して、
一言ですぐ女の人は起きた。
女の人は、特に驚きもしない。
「ここは私の部屋だ」と言わんばかりの顔をしていた。
そして、一言。
僕も咄嗟に「おはよう」と返したが、この状況を理解できていない。
かなり仲良さげの対応。
僕はなんて質問したらいいのか、戸惑った。
すると、あたふたしている僕の様子を見てか、女の人が言葉を発した。
僕の下の名前を呼び捨て。
え?
どういうこと?
さらにパニックになった。
なんて返したらいいのか。
もうどうにもならないと思い、正直に伝えた。
すると、女の人は笑顔で
そこから、スラスラと飲み会で出会ってからの流れを話してくれた。
そして、一番気になる電車に乗ってからについて。
女の人の口から、衝撃的なことを言われた。
話がぶっ飛び過ぎてて、その時は理解が追いつかなかった。
純粋にそう思っていた。
そう聞くと、女の人は笑顔で
ここまで来ると、恐怖もありつつ、疑問もあった。
僕が初めて会った人と付き合って、同棲まで決めるなんて、酔っていたとしても絶対ない。
そう言い切る自信がある。
なぜなら、申し訳ないが、その女性の顔は、僕のタイプではなかったからだ。
これ以上の証拠はないだろう。
いくら酔っ払い状態の僕でも、タイプの女性は変わらないはず。
もちろん、補足しておくと、その女の人はブスではない。
美人だと思う。
桐谷美玲の顔をちょっと崩した感じ。
ただ、僕はふわふわしているかわいい系がタイプなので、系統が違う。
たとえば、こんな感じの顔。
全然違うでしょ?
僕の中では、疑念がどんどん高まっていった。
その日は、休日だったものの、女の人は着る服がないとのことで、自分の家に帰っていった。
部屋で1人になった僕は、冷静になって一連の流れを考え直してみた。
結論、恐怖が一番大きかった。
後日、一緒に飲んでいた仕事仲間の話と比べると、電車で別れるまでは、女の人の話とほぼ同じ。
ただ、それ以降は女の人しかわからない。
僕は、それ以降が全部嘘なんじゃないかと、今も疑っている。
用意周到に準備したものだと思っている。
今も真偽はわからないまま。その女の人とも連絡もとっていない。
というのも、その日以降、僕は女の人に直接謝って、
と頼んだ。
本当は嘘だと思っていたけど、言うとややこしくなると思い、伝えなかった。
すると、急に泣き出したのだ。
僕の部屋だったのだが、隣の部屋にも聞こえるくらい泣きじゃくっていた。
メンヘラの匂いがした。
とにかく、僕は謝り続けたが、全然泣き止まない上、
の一点張り。
僕は場をおさめることができないため、このまま付き合う許可しかなかった。
その日から、ほぼ毎日、僕の部屋に来るようになった。
僕がダメと言っても関係なし。
深夜でも来る。
完全にメンヘラだ。
仕事中に電話もしてくる。
この段階で、この人はヤバ過ぎると思っていたが、住んでいる場所を知られているため、どうすることもできない。
最終的には、引越しして、その女の人のラインもブロック。
連絡手段を一切なくして、関係を切った。
その後、女の人がどうなったのかわからない。
もしかしたら、僕と同じような人がどこかで生まれてしまっているかもしれない。
こんなヤバいメンヘラもいる、という話でした。